現在の本殿は数えて三代目となるもので、平成三十年の秋に竣功しました。(初代は明治四年、二代目は昭和三年の竣功)
この本殿は、平成二十五年の秋まで伊勢の神宮において、内宮・皇大神宮の西宝殿として用いられていました。
「第六十二回神宮式年遷宮」(二十年ごとに行われる伊勢の神宮の御殿の造り替え)の後に当宮へ譲渡され、
令和二年の当宮創建150年の奉祝事業として、伊勢の地にあった姿のままに移築をしました。
このように伊勢神宮より重要な社殿を賜ったことは、当宮のみならず横浜にとっても大変な栄誉といえます。
当宮の御祭神である天照皇大神は、いにしえに伊勢の神宮より勧請されたと伝わります。
永い時を越え、その御神霊が再び伊勢の社殿へと鎮座されたのです。真に関東のお伊勢さまにふさわしい姿となりました。
本殿の姿は、古代の建築様式を今に伝える「神明造」です。
天高くそびえる千木(ちぎ・屋根の両端から突き出した部分)と、
六本の堅魚木(かつおぎ・円柱状の飾り)が置かれた棟木と茅葺の屋根を、
社殿の左右から棟持柱が支える構造をしています。まさに神代の神殿の再現といえるでしょう。
建て替え前の旧本殿(昭和三年竣功)は、解体修繕の後に、
東日本大震災で被災された宮城県石巻市の鹿島御児神社へ譲渡され、新たな本殿として生まれ変わっています。